ABOUT

100年先も続く
持続可能な農業を実現

内閣官房・内閣府より地方創生の優良事例として選出された、宮崎県こゆ郡新富町。人口1万7000人の小さな町に、都市部から活動拠点を移す農業スタートアップが集まってきています。

私たちは、日本の危機的状況を打破し、これからの「稼げる農業」を目指し、その鍵であるスマート農業を推進しています。現場で悩みを抱える農業者と課題解決のための実証実験を実施したい農業ベンチャーをつなぎ、行政と共にサポートを行う中間支援団体として、農家・ベンチャー・行政の交流と連携を促進する場をつくり、100年先も続く持続可能な農業を目指します。

農家減少に加え全国的な人手不足

農林水産省の資料によると、国内の農業就業人口は2015年に150万人だったのに対し、2030 年には75万人と15年間で実に半数になってしまいます。こうした担い手不足に高齢化も合わさり、国内の農業は今後少ない人口で余剰の生まれる農地を活用していく必要があります。その状況で農業を国際競争力のある成長産業にするために有効なのが、スマート農業です。

「未来投資戦略2018」(2018年6月15日閣議決定)においても、スマート農業の実現に向けた取組を総合的に推進するという方向性が示されています。こゆ財団は、農業が盛んな宮崎県・新富町において、スマート農業拡大に向けた取り組みを2018年6月からスタート。地域商社であるこゆ財団と、若手農家、高等専門学校、農業ベンチャーらが連携した「儲かる農業研究会」を設立し、圃場内のデータの見える化や先進技術のプロトタイピングに取り組んでいます。

地域商社と農家、ベンチャーが連携

宮崎空港から車で北へ約30分、宮崎県の中東部に位置する新富町。東京ドーム約460個分にも及ぶ広大な農地を有し、ピーマン・キュウリ・トマト・ズッキーニ・ライチ・キンカンなど、年間を通して多彩な農作物が収穫される地域です。

また、20年以上前からDIYでアグリテックを実践する農業者がおり、IoTを導入しながら収量・効率性を高めようと若手農家を中心に「儲かる農業」の実現に向けた定期的な勉強会を行う研究会も立ち上がっています。そんな農業の地域としての土壌に、新たな風と共に次世代の芽が育ってきています。

1粒1000円のライチのブランド開発から始まり、ふるさと納税寄附額を4億円から19億円へ成長させ、自ら稼いで人財育成・新規事業に投資するモデルが国の地方創生優良事例に選出された、町設立の地域商社「こゆ財団」が中間支援団体として活動を始めました。

その結果、「100年先も続く持続可能な農業を実現する」というビジョンのもと、この小さなまちは、農業ベンチャーのテラスマイル株式会社や新規就農を実現した移住者などの農業スタートアップが集まる場所へと変わりつつあります。

食と農のシリコンバレーをつくる

ビジネス×行政×テクノロジー

100年先も続く持続可能な農業を目指す上で、私たちが重要視しているのは、スマートアグリです。これまでの勘や経験に頼った属人的な農業から脱し、ロボット・IoT・AIなどのテクノロジーを活用し、しっかりとビジネスとして「儲かる農業」を実践していくために連携を深めます。

そして、技術開発を行うアグリベンチャーと農業者をつなぐ場をつくり、行政からの支援を受けられる体制を整えます。宮崎県新富町が「食と農のシリコンバレー」となり、様々な実証実験の成功事例を生み出していく地域となっていく未来を目指します。

 
シリコンバレー流の地域づくり
こゆ財団代表 齋藤 潤一

米国シリコンバレーのIT企業で、ブランディング・マーケティングディレクターとして活動。東日本大震災を機に、自身のスキルと経験を、地域経済の活性化に活かす事を決意。NPO法人を設立。シリコンバレーのデザイン思考の手法を取り入れた地域づくりや人材育成活動は、「シリコンバレー流の地域づくり」として日経新聞で取り上げられ、「地方創生実現ハンドブック」(日経BP)で地方創生の成功事例として選出された。2018年国の地方創生優良事例選出。慶應義塾大学(非常勤講師) /経営学修士(MBA)

 
飛び出した公務員
新富町役場 岡本 啓二

新富町出身、新富町在住。1999年新富町役場入庁。税務から福祉、防災、観光、農業振興などさまざまな行政事業に関わる中で、JAとともに田畑・施設園芸に関する多様な農業振興策を実施する39歳でまちおこし政策課グループ長に配属されたのち、町の将来に対する危機感から町長に地域商社設立を提言。2017年4月設立時に町から出向して執行理事に就任し、ふるさと納税寄附額を設立前の4億3000万円(2016年)から19億円(2018年)と2年で約5倍にすることに成功。2018年儲かる農業研究会開設。

 
IoTを活用する先進的農家
スマートアグリ生産者 福山 望

新富町出身、新富町在住。赤ピーマン生産者。内張空気膜システム開発(特許5260345号取得)。趣味のPCを施設園芸の生産効率化に活用する取り組みを早くから行なっており、2015年ころから環境制御を導入。肥料や温度、湿度、二酸化炭素濃度などの植物に生育に必要な要素をコンピュータで制御し、安定した環境のもとで栽培に取り組んでいる。またハウス内に設置したセンサやカメラで収集したデータを管理・分析していて、高単価になる月の収量を効果的に増加させるなどスマートアグリを実践している。